「虫歯＝削って詰める」——この前提は、もう古くなりつつあります。
近年の歯科医学では、初期虫歯は削らずに治癒する可能性があることが明らかになっています。その鍵となるのが、再石灰化という現象です。
歯の表面はエナメル質で覆われていますが、これは食後や酸性の飲食物によって一時的に溶けかかります。しかし唾液に含まれるカルシウムとリン酸がエナメル質を再結晶化し、表面を修復する働きがあります。これが自然の治癒力、つまり「再石灰化」です。
虫歯の初期段階では、
黒い穴になっているのではなく、
白く濁った脱灰が見られるだけのことが多いです。
この段階なら、適切な環境さえ整えば回復が期待できます。
しかしここで重要なのは、殺菌剤が強すぎる歯磨き粉を使うと、唾液の自然修復力まで弱めてしまう可能性があることです。
唾液にはIgA抗体や酵素が含まれ、菌の増殖を自然に抑えつつ歯を保護していますが、強い殺菌剤でこれをすべて一掃してしまうと、逆に口腔バランスが崩れてしまうのです。
その点で、バイオペーストは菌を“殺菌しすぎない”。
むしろ
口腔内電位の調整
pHバランスの安定化
常在菌の環境調整
これに働きかけることで、自然治癒力を最大限に引き出します。
虫歯の本質は「バクテリアだけの問題」ではなく、
口腔環境とミネラルバランスの問題
です。
正しい歯磨きと食生活、バイオミネラルによるサポートがあれば、虫歯は削らずに回復へと向かう可能性があります。これは「魔法の治療」ではなく、科学的な根拠に基づいたアプローチです。
虫歯は敵ではありません。
歯は壊す対象ではなく、守るべき身体の一部。
その力を信じて引き出すことが、
これからの歯科の新しいスタンダードになっていくと感じています。
