インプラント治療は、歯を失った際に人工歯根を埋め込み、噛む機能を回復するための重要な治療法です。このインプラントには主に金属が使用されますが、近年では金属を使用しないジルコニアインプラントも注目されています。本稿では、インプラントに使用される金属の種類や、それが人体に与える可能性のある影響について考察します。
- インプラントに使用される金属の種類
現在、インプラントの素材として主に以下の種類の金属が使用されています。
- チタン
- インプラントに最も広く使用されている金属。
- 生体親和性が高く、骨と結合する性質(オッセオインテグレーション)を持つ。
- 軽量で耐食性が高く、長期間の使用に適している。
- チタン合金(Ti-6Al-4Vなど)
- 純チタンよりも強度を向上させるためにアルミニウムやバナジウムを添加。
- より高い耐久性を持ち、特に大きな負荷がかかる部分に適している。
- ジルコニア(金属不使用)
- 近年、金属アレルギーや審美的な理由から注目されている。
- セラミックの一種であり、強度が高く、歯の色に近いため見た目が自然。
- チタンと同等か、場合によってはそれ以上の骨親和性を持つという報告もあります。
- インプラントの金属が人体に与える可能性のある影響
インプラントに使用される金属は基本的に生体適合性が高く、安全性が考慮されています。しかし、以下のような影響が報告されることもあります。
- 金属アレルギー
- チタンは比較的アレルギーを起こしにくい金属とされていますが、稀にアレルギー反応を示す人もいます。
- チタン合金に含まれるアルミニウムやバナジウムが原因となることも。
- 電磁波との関係
- 口腔内の金属が微弱な電流(ガルバニック電流)を発生させる可能性があります。
- 特に、他の金属(詰め物やクラウンなど)と接触すると電位差が生じることがあり、これが不快感や軽度の電気的刺激につながることも。
- 電磁波過敏症の人にとっては、インプラントの金属が影響を増幅する可能性も指摘されています。
- 炎症や周囲炎のリスク
- チタンインプラントは、歯周病に類似した「インプラント周囲炎」を引き起こすことがあります。NHKの番組ではチタンインプラントを入れている人の、約40%がインプラント周囲炎、もしくはその予備軍。であると報道されています。
- 一部の研究では、チタンが微細な粒子として放出され、炎症反応を引き起こす可能性が指摘されている。
- 金属の影響を軽減するための選択肢
金属の影響を最小限に抑えるために、以下のような選択肢が考えられます。
- ジルコニアインプラントの使用
- 金属を含まないため、金属アレルギーや電磁波の影響を気にする人には適した選択肢。
- ただし、長期的なデータはチタンに比べると少ないため、慎重な選択が必要。
- 異種金属の使用を避ける
- 口腔内に異なる種類の金属があると、ガルバニック電流が発生しやすくなる。
- 可能な限り同じ素材を選ぶことで、電気的影響を軽減できる。
- 生活習慣の見直し
- スマートフォンやWi-Fiの使用時間を適度に制限することで、電磁波の影響を抑える。
- 抗酸化食品を摂取し、体内の酸化ストレスを低減することも、金属の影響を軽減する助けになる。
- まとめ
インプラントに使用される金属は、基本的に生体適合性が高く、安全性が確保されています。しかし、一部の人にとっては金属アレルギーや電磁波の影響が懸念されることがあります。特に電磁波過敏症の人や、体内の金属による微弱な電流の影響を気にする場合は、ジルコニアインプラントを選択するのも一つの方法です。
治療を受ける際は、歯科医と相談し、自分の体質やライフスタイルに合った素材を選ぶことが重要です。
尚、ジルコニアインプラントにも様々な種類があり、部分だけがジルコニアものもの多く存在します。ジルコニアインプラントの種類と日本での主流については、別の稿でふれさせていただきます。