失活歯が引き起こす可能性のある問題

失活歯は、一見すると痛みもなく問題がないように感じられますが、長期的にはさまざまな影響を及ぼすことがあります。

(1) 再感染のリスク

  • 失活歯の内部には細菌が残る可能性があり、完全に無菌化することは困難です。
  • そのため、時間が経つと根尖性歯周炎(歯の根の先に膿がたまる病気)などの再感染を起こすリスクがあります。
  • 症状が進むと、歯茎の腫れや膿、慢性的な炎症を引き起こすことも。

(2) 歯原病(全身の健康への影響)

  • 失活歯が細菌の温床となることで、慢性的な炎症が全身の健康に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
  • 失活歯の70%が歯原病になるというデータがあり注意が必要です。
  • 免疫力の低下アレルギー症状の悪化疲労感の増加などが報告されることもあります。
  • 海外の研究では、失活歯と心臓病・関節炎などの疾患との関連が示唆されています。

(3) 顎の骨への影響

  • 失活歯は、歯根の周囲の骨に影響を及ぼし、骨の吸収(減少)を引き起こすことがあります。
  • 骨が減ると、歯がぐらついたり、最終的には抜歯が必要になるケースもあります。
  1. 失活歯を持っている場合のセルフチェック

失活歯がある場合、自分で気をつけるべきポイントを把握しておきましょう。

セルフチェックリスト
・失活歯がある部分の歯茎が腫れやすい
・なんとなく疲れやすい、体調がすぐれない
・噛んだときに違和感や圧迫感を感じる
・根管治療を受けた歯の変色が進んでいる
・歯茎が下がってきたように感じる

これらに当てはまる場合は、歯科医院での定期チェックを受けることをおすすめします。

  1. 失活歯への対処法

失活歯があるからといって、必ずしもすぐに抜歯が必要になるわけではありません。現在の状態に応じて、適切な対策を考えましょう。

(1) 定期的な歯科検診

  • 失活歯がある場合、半年に一度の定期検診を受けることが重要です。
  • レントゲンやCTを撮ることで、内部の状態を確認できます。

(2) 免疫力を高める

  • 失活歯が全身に影響を与える可能性があるため、食事・睡眠・運動を意識して、体の免疫力を高めることも重要です。
  • ビタミンCやグルタチオンの摂取が、炎症のコントロールに有効とされることもあります。

(3) 抜歯を検討する場合

  • 失活歯が原因で慢性的な炎症や体調不良が続く場合、抜歯を検討するケースもあります。
  • ただし、抜歯をする場合は、歯科医師と十分に相談し、**その後の治療計画(インプラント・ブリッジ・義歯など)**をしっかり考えることが大切です。

まとめ
失活歯は、一見すると問題がなさそうに見えるものの、長期的には色々な影響を及ぼす可能性があります。
特に、慢性的な炎症や全身の健康への影響が懸念されるため、定期的なチェックと適切な対策を行うことが重要です。

変色やもろさがあるため、噛む力や見た目に影響を与える
再感染のリスクがあり、根尖性歯周炎を引き起こす可能性がある
歯原病として全身の健康に関与する可能性がある
顎の骨の吸収が進み、長期的に歯の寿命を縮めることも

「失活歯がある=すぐに抜歯しなければならない」わけではありませんが、健康を維持するためには、日々のケアと定期的な歯科検診が欠かせません

次回は、失活歯を予防するためにできることについて、より詳しく解説していきます!

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