ジルコニアインプラントには、大きく分けて「フルジルコニアインプラント」と「一部がジルコニアのインプラント」の2種類があります。それぞれの特徴と、日本での主流について解説します。
フルジルコニアインプラント(全てがジルコニア)
- インプラントのフィクスチャー(顎の骨に埋め込む部分)とアバットメント(人工歯を接続する部分)がすべてジルコニアで作られている。
- 金属を一切使用しないため、金属アレルギーや電磁波の影響を避けたい人に適している。
メリット
- 金属イオンの溶出がなく、歯肉の色が黒ずむことがない。
- 生体親和性が高く、炎症リスクが低い。
- 金属よりも審美性が良い(特に前歯部に適している)。
デメリット
- 強度がやや劣るため、大きな負荷がかかる奥歯には不向きな場合がある。
- チタンに比べると、長期的なデータが少ない。
- フィクスチャーとアバットメントが一体型のものが多く、角度調整が難しい。
- フルジルコニアインプラントは日本国内ではまだ認可を受けていないため、個人輸入の対照であり高額である。
一部がジルコニアのインプラント(日本で主流)
- フィクスチャーはチタン製で、アバットメントのみがジルコニア製のもの。
- 日本ではこのタイプが主流で、多くの歯科医院で採用されている。
メリット
- フィクスチャーがチタンなので、強度と安定性が高い。
- アバットメントがジルコニアなので、審美性が向上する。
- 既存のインプラントシステムと互換性があるため、歯科医院にとって扱いやすい。
デメリット
- フィクスチャーが金属のため、金属アレルギーや電磁波の影響を気にする人には不向き。
- ジルコニアアバットメントは強度が高いが、割れるリスクがゼロではない。
日本では「一部ジルコニアのインプラント」が主流の理由
安全性と実績のあるチタンを使用したい
- 日本の歯科医療では、チタンインプラントの長期的な成功実績があり、信頼されている。
- フルジルコニアインプラントは新しい技術のため、長期データが少なく、導入に慎重な傾向がある。
強度の問題
- 日本人は咬合力(噛む力)が強いため、強度の高いチタン製フィクスチャーが選ばれやすい。
- フルジルコニアは強度の面で懸念があり、特に奥歯には不向きと考えられる場合がある。
審美性と機能のバランスを考慮
- アバットメントをジルコニアにすることで、審美性を確保しつつ、強度も維持できる。
どちらを選ぶべきか?
フルジルコニアインプラント | 一部ジルコニアのインプラント | |
金属アレルギー | ◎ なし | △ フィクスチャーはチタン |
強度 | △ やや弱い | ◎ 高い |
骨との結合 | ◯ チタンと同等 or やや劣る | ◎ 確立された技術 |
審美性 | ◎ 高い | ◯ 良好 |
電磁波の影響 | ◎ なし | △ 影響の可能性あり |
日本での普及率 | △ 少ない | ◎ 主流 |
まとめ
- 金属アレルギーや電磁波の影響を避けたい人は、フルジルコニアインプラントが適している。
- 耐久性や長期的な成功率を重視するなら、日本で主流の「一部ジルコニアのインプラント(チタンフィクスチャー+ジルコニアアバットメント)」が最適。
- 噛む力が強い人や、奥歯のインプラントにはチタン製フィクスチャーの方が適している。
日本ではまだフルジルコニアインプラントの普及は進んでいませんが、技術の進歩によって今後選択肢が増えていく可能性もあります。どちらを選ぶかは、自分の体質や治療目的、歯科医師の意見をよく聞いて決めることが大切です。