近年、健康意識の高まりとともに、私たちの身の回りに存在する電磁波の影響についての関心が高まっています。携帯電話、Wi-Fiルーター、高圧電線など、現代人は日常的に多くの電磁波にさらされています。その中でも注目されているのが、歯に埋め込まれた金属が電磁波とどのように関わるのかという点です。
本稿では、歯科治療で使用される金属が電磁波とどのように相互作用し、健康にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、さらに東洋医学的視点から知られる「11円療法」の原理とあわせて考察していきます。
- 歯の金属と電磁波の関係
歯科治療では、金属製の詰め物(インレー)、クラウン、ブリッジ、インプラントなどが一般的に使用されます。これらの金属は導電性が高く、外部からの電磁波を受けることで微弱な電流を生じることがあります。この現象は**「ガルバニック電流」と呼ばれ、特に口腔内に異なる種類の金属が同時に存在する場合に強く発生する**傾向があります。
たとえば、銀合金とアマルガム、あるいは金とパラジウムなど異種金属が混在することで、唾液という電解質を介して電位差が生じ、微弱な電流が流れます。口腔は神経系と密接に関わる部位であるため、これらの電流が身体に与える影響には注意が必要です。
- 電磁波による健康への影響
電磁波の健康影響については世界中で研究が進められており、まだ科学的に完全には解明されていませんが、以下のような報告があります。
- 頭痛やめまい:口内の金属が電磁波に反応することで、頭痛やめまいを引き起こすと訴えるケースがあります。
- 電磁過敏症:電磁波に対して過敏な人は、金属の存在により影響が増幅される可能性があります。
- 神経系への刺激:ガルバニック電流が神経に微弱な刺激を与えることで、不快感、集中力の低下、疲労感につながる可能性があるとする研究も存在します。
- 「11円療法」の原理とガルバニック電流の関係
口腔内で発生するガルバニック電流は、東洋医学的視点で知られる**「11円療法」**と同様の原理で説明できます。「11円療法」とは、10円玉(銅)と1円玉(アルミ)という異なる金属を皮膚に貼ることで、金属間に微
細な電流が生じ、その電流が体内に作用し不調の改善をもたらすとされる民間療法です。
この現象は皮膚上でも発生しますが、実は口の中ではより強く発生する可能性があります。なぜなら、口腔内には常に水分(唾液)があり、金属と金属の間に導電性のある環境が常に存在しているからです。
つまり、「11円療法」と同じ原理が無意識のうちに口の中で起きている
とも言えるのです。これが、長期的に神経や粘膜に刺激を与え、体調不良の一因となる可能性があると指摘されています。
- 対策と予防策
歯の金属による電磁波の影響を軽減するために、以下のような対策が推奨されます:
- セラミック素材への置き換え:金属を使わないセラミッククラウンや
ジルコニアインプラントにすることで、電磁波との相互作用を防ぐことが可能です。 - 異種金属の併用を避ける:口腔内に異なる種類の金属が混在することでガルバニック電流が強くなるため、できるだけ素材を統一することが望ましいです。
- 生活習慣の見直し:スマートフォンやWi-Fiの使用を減らすなど、電磁波に晒される時間を意識的に短くする工夫も有効です。
- 電磁波対策グッズの活用:シールドアイテムや電磁波カットアクセサリーを取り入れることも一つの方法です。
歯の中に埋め込まれた金属が電磁波を受けて微弱な電流を生じ、それが体に影響を及ぼす可能性があることは、まだ研究段階にあるものの、無視できない事実です。とくに異種金属を使用している場合は、電流の強さが増すことが知られています。
「11円療法」のように、金属間の電位差によって生まれる微細な電流が体に作用するという考え方は、現代の歯科治療においても示唆に富んだ視点です。
電磁波の影響を完全に避けることは難しい現代社会において、自分の体質や生活環境に合った歯科材料を選ぶことが、健康を守る一助となるかもしれません。